オリジナル絵の展示や、その時はまったゲーム絵、本の感想などごった煮です。
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ゆめをみた。
私は卒業式を迎え うかれ騒ぐ生徒達の間を歩く。
校門から見える団地の壁面には 卒業に、ちなんだ絵が描かれ
青い空に 無数の黒い風船が吸い込まれてゆく
友人たちからの打ち上げの誘いを断り
中庭へと続く廊下を歩いていると
静かに進む 黒い服の行列に会う。
学校では在学中に必ず一人 生贄が捧げられ
贄は病に冒される。逃れるすべはない。
「ああ、私には葬列こそふさわしかったのだ」と感じる。
さほど大きくない柩が中庭を 静かに静かに進み
私は喪服の一人に尋ねる。
-彼は いつ亡くなったのですか
-随分と前です。
けれど本人の希望で在学中は
遺体を学校に置いて欲しがったのです。
私は 長い付き合いである友人の姿を見ていない事を思い出す。
通り過ぎる校内の扉のひとつに彼の姿を見つけ
笑う彼に声をかけようとし
その腕が ぼこり ぼこり と
炭化している事に気づく。
すでに新しい贄は選ばれていたのだ
そうして私はかける言葉が見つからないまま曖昧に笑うと
二人の間の扉を閉めた。
ふと、先程の葬列は誰のものであったろうかと思う。
二度と扉は開かない。
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