忍者ブログ
オリジナル絵の展示や、その時はまったゲーム絵、本の感想などごった煮です。
[73]  [72]  [71]  [70]  [69]  [68]  [67
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


 ゆめをみた。


 私は卒業式を迎え うかれ騒ぐ生徒達の間を歩く。
 校門から見える団地の壁面には 卒業に、ちなんだ絵が描かれ
 青い空に 無数の黒い風船が吸い込まれてゆく
 友人たちからの打ち上げの誘いを断り
 中庭へと続く廊下を歩いていると
 静かに進む 黒い服の行列に会う。

 学校では在学中に必ず一人 生贄が捧げられ
 贄は病に冒される。逃れるすべはない。

 「ああ、私には葬列こそふさわしかったのだ」と感じる。


 さほど大きくない柩が中庭を 静かに静かに進み
 私は喪服の一人に尋ねる。

  -彼は いつ亡くなったのですか

  -随分と前です。
  けれど本人の希望で在学中は
  遺体を学校に置いて欲しがったのです。

 私は 長い付き合いである友人の姿を見ていない事を思い出す。
 通り過ぎる校内の扉のひとつに彼の姿を見つけ
 笑う彼に声をかけようとし
  その腕が ぼこり ぼこり と

  炭化している事に気づく。


    すでに新しい贄は選ばれていたのだ


 そうして私はかける言葉が見つからないまま曖昧に笑うと
 二人の間の扉を閉めた。
 ふと、先程の葬列は誰のものであったろうかと思う。


 二度と扉は開かない。


PR
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
箱庭書棚
ブログ内検索
リンク
アクセス解析
忍者ブログ [PR]