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オリジナル絵の展示や、その時はまったゲーム絵、本の感想などごった煮です。
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 ゆめをみた。


 僕のクラスで飼育研究の一環として
 飼われていたペットが死んでしまった。
 どうやらペット同士の共食いのようなのだが
 運の悪い事に殺されたそれは
 僕と友人の育てていたペットだった。

 ざわめく教室で担任は淡々と事実を説明する。
 しかし、皆、薄々誰がやったのかはわかっていた。
 飼っている檻の中でもあぶれているペットのグループがおり
 皆、手を焼いてはいたのだ。

 育て方を間違えたか、と。

 いかにも残念でなりませんという表情を作って見せている
 担任の脳裏にもそれは浮かんでいるはずだろう。

 何事もなかったかのように授業が始まろうとした時
 友人が静かに席を立った。
 担任は尋ねる事も、止める事もなく
 僕はそれを遠巻きな推称であるかのように感じつつ
 友人の後に続いて教室を出た。

 誰もいない廊下。
 友人は静かに透明なビニール傘を
 僕は水色のスマートな傘を手にとった。


 表にでると、また檻から逃げ出したのだろう、彼らが
 錆びたジャングルジムの上から
 にやにやと笑いこちらを見ていた。
 
 「どうした?優等生君たち」

 しかし、それには何も答えず優秀なる友人は
 古い儀式にのっとって左手でヒゲをすっとのばし
 右手で傘を彼らに向けた。

 「繁殖、生産率を上げる事によってもたらされる
  将来的な経済効果を知る為にもあの研究は必要だったのに。」

 彼の丸くなる瞳を見て、彼らは友人の本気を悟ったようだった。
 恐れ何かもごもごと弁明をしようとする彼らに
 友人は鋭利な傘の先を彼らの一人の眉間に向けた。


 「あくまで 僕ら 猫にとって 人間はペットでしかないよ」
 
 
 視界の隅でゆっくりと揺れるブランコと
 それにあわせるように楽しげに振られる友人の尻尾を眺めながら
 僕はただ、ぼんやりと
 また新しい傘を買わなければいけないな、とだけ思った。

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