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オリジナル絵の展示や、その時はまったゲーム絵、本の感想などごった煮です。
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 ゆめをみた。

 久しくしていた友人から手紙が届いた。
 古いわけでもないのに所々、文字が薄くなっていてよく読めない。
 
 「 …していてすまない …さういった事情で…
   もう   あまり… ないのだ。こうして直線を書く  …ままならぬ。
   せめてあの頃のやうな楽しげな …さえあれば。
   …記憶を 少し返してはくれまいか。」

 読んでいる私の横ではテレビが大騒ぎをしていてとても鼻につく。
 青年が老婆を哂っているようだ。
 不快に思い消そうとすると、無駄に華やかな作り物のなかで
 笑顔を顔に貼り付けたような女性アナウンサーが高らかと告げる。


 「さぁ!その手紙の読めない部分を解くヒントはこちらです!」


 ギクリとして手元の手紙を見やると少し文面が変わったように見えた。

 「…もうすっかり大きくなったのではないかな
  …かれこれ … 元気に育っているのを
  想像するだけ  も    …楽しみだ。」

 育った…?何のことだろう…
 そう思いながらもサンルームの植木の隅に
 小さなケースのようなものがあるのが気になっていた。
 …しかしどんなに記憶を辿っても何をもらったのか思い出せない。
 生き物であったなら世話をしているはずなのに。

 そもそも、この友人とはどこで知り合ったのだったろう。
 焦れば焦るほど記憶が曖昧になってゆく。
 冷静になるよう自分に言い聞かせ封筒を裏返し、差出人をみると

 自分の名前が書かれていた。


 私はゆっくりと、何かが蠢く入れ物を見る。

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